日本在宅医療福祉協会 設立趣意(1985年5月)

 国民の寿命は年々高齢化の一途をたどり、医療や福祉のありかたも急激な変ぼうをとげつつあります。
 とりわけ在宅医療は、機器の小型化、簡便化等々により市民でも安易に取扱えるようになり、日常生活に浸透してきております。

 反面、市民の長生き指向や医療に対する無知を逆手にとった、いかがわしい機器の氾濫は目を覆わんばかりで、健全な在宅医療や福祉を願うわれわれにとって、ゆゆしき問題であり将来の在宅医療の方向を誤らせる結果になりかねません。

 このような状況下においてわれわれ健全な在宅医療福祉をめざす同志が相寄り、行政に協力しながら、システム、安全性、品質、有効性等々を充分勘案した在宅医療システムや、家庭用医療用具を市民に提供することを目的として日本在宅医療福祉協会の設立を企画いたしました。

 この主旨をご理解いただき、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

ご挨拶   日本在宅医療福祉協会会長 白井 大治郎

 世界一の長寿国・日本の国民総医療費は30兆円を突破し、年を追うごとに上昇し続けており、その要因となっているのが高齢者医療であり、同時に寝たきり老人の増大です。国は、「健康日本21」運動を推進するなど、多発する生活習慣病対策が急がれていますが、医療の流れも、そうした点を踏まえてキュアからケア、治療から予防重視へと大きく変革しつつあります。

 では、もし寝たきりとなり介護が必要になったら、病院から自宅での療養に切り替えることになったら…そのような国民の、さまざまな在宅医療・福祉分野のニーズに応えるべく、昭和60年5月に設立されたのが日本在宅医療福祉協会です。

 特に近年、医療を提供する場として、入院・外来に続く”第三の医療”といわれる在宅医療は、患者とその家族のQOL向上に貢献すべく、クローズアップされております。

「自宅で療養したい」「病院から退院して自宅で家族とともに暮らしたい」等々、在宅療養に対する患者とその家族のニーズは、年々高まっています。当協会では、在宅医療を、より広い観点から、在宅医療が展開される在宅の現場を通じ、さらに介護保険制度の創設を契機として在宅医療に対する関心を強め部会活動を活発化させるなど、その方向性を強めてきました。

 これから在宅医療・福祉分野に関連する企業・専門職は、どのようにしたら多様化する患者とその家族のニーズに応えることができるか、ともに考えなければなりません。在宅医療のさらなる普及・発展、患者とその家族が要求する快適な生活、QOL向上には、医師・歯科医師・看護師・薬剤師・栄養士・メデイカルソーシャルワーカー・ケアマネージャー・介護職に携わる多くの専門職の方々とのチーム医療が欠かせません。

 そこで在宅医療・地域医療を支えている専門職の方々と、より積極的に交流すべきことは論を待ちませんが、ハード及びソフトの提供者である、在宅医療・福祉に関わる、さまざまな企業及び業界組織との連携、継続的な相互支援が必須条件であると考えております。

 一社でも多くの企業のご参加を、お待ちしております。

所在地

〒113-8420 東京都文京区本郷2−35−8 フクダ電子本郷事業所 TEL:03-5684-1557 FAX:03-5684-1560
主な事業内容

・介護福祉関連、在宅医療関連講演会、研究会、施設見学の企画開催および関連団体のセミナー情報提供
・メールマガジン『日在協通信』配信による在宅福祉・在宅医療関係最新内外情報の収集と提供
・会報『コミュニケーション』等の出版活動
・福祉用具、在宅医療機器の研究・開発普及促進及び用具・機器の品質・安全性の確保に関する調査・研究
・国及び地方自治体等の福祉及び在宅医療関連催事、福祉機器展、在宅医療関連展示会等への協力
・公的団体より委託の研修会の実施
・福祉・在宅医療関連行政施策への協力
・福祉・在宅医療関係業界の要望実現への努力
・医師、薬剤師、看護師及び関係団体との提携
・会員相互の情報交換、懇親会等の開催
・その他
・協会案内書(PDF 1.94MB) 日本医療機器産業連合会誌「医機連ニュース」71号(2010年10月)掲載